生コンクリートQ&A

Q&A


生コンクリートに関する質問です。
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Q43)  耐硫酸塩ポルトランドセメントについて教えていただけないでしょうか。
 耐硫酸塩ポルトランドセメントは硫酸塩による化学的侵食に対して抵抗性が高いということですが、
 温泉腐食環境下での適用性はいかがでしょうか?
 温泉地帯に建設されるコンクリート構造物は、一般に、酸と硫酸塩により化学的侵食作用を受けます。
 このように硫酸塩のみならず、酸が作用する場合の耐硫酸塩ポルトランドセメントの適用性についてご教示願います。
 ちなみに酸性度はpH=3程度です。
1 性能と用途について
 耐硫酸塩ポルトランドセメントは,硫酸塩と反応して膨張性のエトリンガイドを生成する要因となるアルミン酸三カルシウム(C3A)を4%以下と少なくすることで,硫酸塩による化学的侵食に対する抵抗性を高めています。
 このような性能を有することから硫酸塩の多く含まれる環境下(海洋構造物や温泉地帯など)の使用に適しています。
 
  耐硫酸塩ポルトランドセメントの品質特性を次表に示します。
           特性
セメントの種類
比表
面積
強度 水和熱 化学
抵抗性
収縮 水密性
短期 長期
耐硫酸塩ポルトランドセメント 最大
高炉セメント
普通ポルトランドセメント

2 酸による化学的腐食について
 酸による化学的侵食の特徴は,侵食が表面から徐々に内部に向かって進行していくことである。
 この反応により表層部のセメント硬化体が軟化し,更に結合能力を失うと脱落する。これによって表層部のセメント硬化体のみが洗われたような状態となり骨材が露出してくる。そして更に侵食が進行すると,骨材を取り囲む部分のセメント硬化体がぜい弱し,骨材を保持できなくなるため骨材の欠落が生じ始める。これらの繰り返しによって,コンクリートがやせ細っていく。
 酸による化学的腐食において,侵食の程度を左右する大きな要因の一つは酸の強さである。
 概して,酸が強くなるほど,(pHが低くなるほど)侵食の程度は大きくなる。
 酸による化学的腐食を受けたコンクリートでは,未反応部分での力学的な特性の低下はさほど見られない。したがって,ぜい弱化した部分を除去すれば,力学的には健全である。
 ただし,酸の浸透がコンクリート内部の物質移動を引き起こしているため,化学的な変化が生じている事に留意しなければならない。

 対策としては化学抵抗性の大きい耐硫酸塩ポルトランドセメントを使用するほか,水セメント比を小さく水密性の高いコンクリートを使用することが有効である。また,施工面ではかぶり(厚さ)を十分取るなどして鋼材を保護する事,また入念な締め固めと養生を行うことも大切です。

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Last updated on Wed, Jul 2, 2003